「じ、じゃなくて、先生…」
「ん?」
「何か用があったんじゃないですか…?」
わたしの顔は火がついたように熱い。
大丈夫、向こうには見えていないんだから。
「ああ、そうだった。忘れるとこだったよ」
「…しっかりしてください」
ていうか、これは病院の電話からかけているのではなかったっけ。
まわりにスタッフはいるだろうに、なんという会話をしているんですか。
「実は、今度の診察日なんだけど、ちょっと病院を出ないといけなくなって、違う日に変更してもらえないかな」
「別にわたしはいつでもいいですよ」
講義サボってでも先生のところに行くつもりだし、と心の中でぺろりと舌を出す。
先生はほっとしたような声になった。
「それじゃあ、少し日にちは早まるけど、22日はどう?」
「ちょっと待ってください」
いつでもいいとか言っておきながら、念のために手帳を開いて予定を確認する。
22日…



