だけど、的井先生は…
コーヒーを飲み干してカップをテーブルに置いたとき、素晴らしいほどのタイミングで携帯が鳴った。
朝っぱらから誰だろうと思いながら着信画面を見て、一瞬息が止まった、ような気がした。
大学病院からだ。
的井先生…?
「はい…」
緊張しながら電話に出た。
「牧原さん」
やっぱり的井先生だ。
「おはようございます」
「おは、ようございます…」
緊張して、声がいつもより高くなってしまった。
この前のことがあってから、少しだけ先生と話すのが気まずい。
わたしが勝手に気まずがってるだけなんだけど…
わたしのぎこちなさに気づいたのか、電話の向こうで先生が苦笑した。
「この前はごめん。お願いだからそんなに固くならないで」
何言ってるの、的井先生が先によそよそしくしたくせに。
向こうには表情が見えないのをいいことに、むすっと口をとがらせた。



