恋の扉をこじあけろ



嘘だっていうのはすぐにわかった。

ただの勘だけど。


「女の子といるんですね」


「……」


黙り込んだ相手に、わたしは苦笑した。


この人は幸宏と違って、嘘をつくのが下手みたいだ。


「幸宏くんに伝えてください。…さよならって」


言い捨てて、相手が何かを言う前に電話を切った。



携帯をベッドの上に投げ捨てて、自分も体を放り出す。


スプリングからの振動がなくなっても、わたしはそのまま天井をみつめていた。




もう終わり。




嘘の日々は、ただの夢。


わたしがみていたただの夢だった。



目を閉じると浮かぶのは、幸宏との幸せな思い出ばかりだった。



はにかんだ笑顔、

はじめてのキス、

撫でてくれた温かい手。




あれは全部、

嘘だった。