にんじん【超短編】

朝、教室の前まで来ると
深呼吸をひとつする
そして、教室の扉をガラリと開けると


「おはよう」


って言った



誰からも返事がなかった
だけど、
不思議と昨日までの、
どこかもやもやした感じはなかった


後ろから、


「早く入れよ」


って声がする
クラスの人気者が立っていた


「まっ、最初はそんなもんじゃね?」


って、言うと笑いながら席へと向かった
私もそうだなって、思うと席に向かった


席に座ると
前の席の子が振り返って
おはよって
言ってくれた
すぐに、前を向いてしまったけど…


私は少しだけ、にやけながら
教科書を用意した