「…スイーツみたいにさ、ふわふわきらきらな女の子になりたいよね。」
私が頼んだベリータルトを眺めながら言うと、みかさがまた吹き出した。



「あんずはガサツなのか乙女なのか分かんない!」

「…もう、みかさってば、私は本気で言ってるんだよ?」

「ごめんごめん。…でもさ、カフェオレみたいな苦い経験があるからこそ、きらきらなスイーツみたくなれるんじゃない?」

みかさが少しだけ真面目な顔をして言う。



「…確かに。」

私も納得して頷く。
カフェオレみたいな苦い経験。
そう思えば、別れも悪くはないのかな。



半ば強引に自分を納得させて、私はベリータルトを口に運ぶ。

「やっぱここのケーキは違うよねぇ。美味しい!…失恋なんて、甘いモノで忘れちゃうのが一番だよね!」


私がベリータルトを頬張ると、みかさが笑う。

「…あんずは単純だねぇ。」


…単純で結構。
スイーツ食べてる時ほど、幸せな時はないもんね。


「あー…毎日スイーツに囲まれて暮らしたい。」




…こんな、私の独り言が。
私の運命を変えるなんて。
この時の私は、気付きもしなかった…──。