「ただいま。…あ、喋れた?」
帰ってきた陽向がニヤリと口角を上げなから、私と千尋くんを交互に見る。
「うん!あ、あとね、試作のソルベも貰っちゃったー♪」
私の言葉に、陽向は嬉しそうに千尋くんの頭をぐじゃぐじゃと撫でた。
「千尋はほんとに良い奴だから、あんずと打ち解けられて良かった。」
千尋くんは少し照れくさそうに目をそらす。
だけど、嫌ではなさそうだった。
…軽くヤキモチ焼いちゃいそうになるくらいには、素敵な兄弟だ。
…て、え、ちょっと待って。
陽向、今、『あんず』って…
いつも、お前、だったのに。
…大学生にもなって、こんなことで動揺するのは悔しいけれど。
不意打ちは、反則だ。
「…あんず?どうかしたか?」
私の顔を覗き込む陽向に、私は顔の前であわてて手を降る。
「っなんでも、ないよ!」
そんな私を見透かしたように、意地悪な笑みを浮かべる陽向。
…こいつ、もしかしてわざとじゃ…!
「ふ、ばーか。」
またもニヤリと口角を上げる陽向。
…こっちにもまだまだ裏がありそうだ…──。

