「あんず…さん?」
なんとなく不安そうに顔を覗き込んでくる千尋くんに、私はまたもや心臓を持っていかれそうになる。
…これは確信犯だ。
天然無自覚ほど、罪なものはない。
「あんず、で良いよ、歳もそんなに変わらないし。」
私が言うと、千尋くんはこくり、と頷いた。
「…あんず。」
少しの間のあと、おずおずと私の名前を呼ぶ千尋くん。
…っ可愛い!
ほんとに可愛い!
「…あんず、ありがとう。」
また少し間をあけて、千尋くんが呟くように言った。
その言葉に、弟ができたような、ほっこりした気持ちになりながら、私は笑みを返した。

