…それにしても。
このお店、ケーキからジェラート、マカロンまで、お菓子の種類が幅広い。
ケーキやジェラートなんかは、それだけで専門店を開いてる所も少なくない。
お客さんの少ない時を見計らって、私は陽向に尋ねてみた。
「ねぇ陽向、Amagaseのスイーツってさ、種類多くない?作るの大変じゃないの…?」
「あぁ、確かに兄貴たちも大変そうだけど。千尋も作ってるし、今のところはやっていけてるみたいだけどな。」
ショーケースに視線を落としながら、陽向が言う。
千尋くん…は、確か四男の、製菓学校生だったけ。
自己紹介の時にちらっと見た千尋くんを思い出してみる。
口数の少ないひとだったよね…。
透き通った焦げ茶色の髪に、天ヶ瀬家に共通する整った顔立ち。
あとは…澄んだアーモンド色の、とっても綺麗な瞳をしていたのを覚えている。
白の、ダブルボタンのコック服がよく似合っていた。
「へぇー…。千尋くんて、すごいんだねぇ。」
私が千尋くんを思い出しながらそう言うと、陽向がくすっと笑った。
「お前、千尋んこと思い出して、無口なヤツだと思っただろ。」
…う、お見通しだ。
私の表情を見て察したのか、陽向はまた笑った。
「まぁそうだよな。あいつ、人見知りだし。口下手だし。ぱっと見クールだし。…でも、懐くと可愛いぜ?」
何故か得意気に、陽向が口角をあげて言う。
「…陽向ってば、ブラコン…?」
思わず口にしてしまってから、私ははっと口元を押さえる。
「…んのやろ、お前、覚えとけよ?」
そう言って私を睨む陽向に、私はぺろりと舌を出しておいた。

