このお店は、入ってすぐにスイーツの並ぶショーケースがある。
そこで、注文を取って、ショーケースからスイーツをお客さんのもとへ運ぶ。

それが、ホールスタッフの主な仕事だ。



平日は当然だけど、陽向や真白くんのホールスタッフ要員は学校だから雪人さんしか人手がいない。
だから、サロンが使えるのは休日限定だ。





「マカロンとかクッキーとか、小さいお菓子を基本はプティ・フールっていって、さらに分類するとプティ・フール・セックとかプティ・フール・ドゥミ・セック、プティ・フール・グラッセとか色々あるけどまぁそこまでは覚えなくても大丈夫だとは思うけどな。あとは…」

「待って待って、プティ・フール・せっ…?」


お客さんの少ない時間帯、ショーケースの中を見ながら、陽向がこのお店の商品をざっと説明してくれる。
…けど、ぜんっぜん分かんない…!!



「…種類はまぁ良い。でも商品名は全部覚えろ。今すぐ覚えろ!」

陽向のオニーっ!!



でも、ショーケースの中のスイーツたちは、どれもほんとに美味しそう。
私もお客さんとして通っていた頃から大好きなスイーツばかりだ。

ナパージュでキラキラしたイチゴやベリー、フルーツのタルト。
見るからにふわふわなシフォンケーキに、つやっつやのオペラ・オ・ショコラ。
優しい色合いのシャーベットやミルキーな色をしたパルフェ。
コロンとして見た目も可愛いマカロン。


ここは確かに、女の子の夢が詰まった素敵な場所だ。




「…良いとこだね、このお店。」

私がしみじみそういうと、横の陽向が、不思議そうな怪訝そうな、でも、どこか嬉しそうな顔をした。



私も早く、このキラキラしたスイーツを全部覚えて、ホールスタッフとして一人前になるぞーっ!!