「あんずちゃんあんずちゃん、」
そこに、雪人さんが楽しそうに手招きする。
私が雪人さんに近寄ると、そこには白い服とピンク色の布があった。
「これって…」
「じゃーん、これがあんずちゃんの明日からの衣装です!ぱちぱちぱち!」
雪人さんは私にそれを手渡して、擬音語と共に手を叩く。
近くにいた真白くんもこっちに来て、可愛い!とはしゃいだ声をあげる。
…この二人を見てると、この世のいさかいなんてなくなるんじゃないかってくらい、平和な空気が流れる。
「やっぱりね、女の子にはピンク色かなーって!」
雪人さんがにこにこしながら私を見てそう言う。
ネックチーフは、光沢のある分厚いサテン生地で、アマガセの雰囲気にぴったりだ。
「あれ、あんずちゃん、もしかして気に入らなかった?ピンクが嫌いなら他の色にでも…」
雪人さんが不安そうに私の顔を見る。
私はあわてて首をぶんぶん振った。
「違うんです、すっごく素敵だから、私なんかが着て良いのかなって思って!ほんとにありがとうございます、バイトのことから無理してもらって…。」
私が言うと、雪人さんは優しく笑ってくれる。
そして、ぽんぽんと頭を撫でられた。
「…あんずちゃんは優しい子だね、やっぱり雇って正解だったな。改めて、よろしくね!」
…スイーツが好きで。
このお店の雰囲気が好きで。
ふられて。
そんな理由でここで働きたいって思ったけど、こんな私に優しくしてくれる雪人さんや真白くんや、陽向くん。
…ほんとに、頑張りたい。
このお店に貢献したい。
これは、このお店との運命の出会いかもしれない。
そう思いながら、私は受け取った制服とネックチーフを握り締めた。

