「あー…、なんつーの、兄貴も弟たちも人並みにはもてるからさ。女一人雇うとさ、そういうのめんどくさいじゃん?かといって、男は雇ってくれなんて言ってこねーし。」
私が人を雇わなかった理由を尋ねると、歯切れ悪そうに日向くんは言った。
「あ…、そっか…。」
…もしかして、だから日向くんは私のことを快く受け入れはしなかったのだろうか。
私を一人雇ったら、他のひとも雇ってくれって言ってくるかもしれない。
それこそ私、迷惑な存在なんじゃ…
私がぐるぐると考えていると、髪をくしゃりと撫でられた。
「心配すんな。雪人が良いって言ったんだし。それに、お前は男を目当てにバイトしに来たわけじゃないのはちゃんと理解してるから。」
日向くんが微かに笑みを浮かべながら言う。
「日向く…」
「あとさ、日向くんって、なんかこそばゆいから、日向で良い。」
私が日向くんを見ると、ふいと目線を逸らしながらそう言って日向くんはキッチンに戻っていってしまった。
…うん、日向く…日向がそう言ってくれているんだし、雇ってもらった以上は頑張らないと失礼だよね!
私は一人小さくガッツポーズを作って気合いを入れ直した。

