「そそそそのとらとらとら虎がこれから年を取って……ほら、きっと重力に逆らえなくなってタルンタルンてなって、見た目なんか可愛いメインクーンみたいな垂れ目の可愛らしい猫になって、更に年を取って、何やらやつれた老猫になったとしても!!!」
「メンクイ? 老猫? 一体なんの話だこら。誰のこと言ってんだこのやろうが!」
フンガッフンガッフンガっと鼻息を荒々しく、まるで蒸気機関車のように怒りの気を吹き散らした霧吹は、怒りで目が真っ白になってきた。
それはさながら獲物を見つけたサメのようだ。
「でも私、そうなっても一緒にいる自信がありますから!」
ど天然な葵は、超真剣だった。
人生初の大告白は、霧吹の背中や胸や腕に施されている消えないお絵かきを誉めながら自分の気持ちを伝えようという、なんともハードルの高いものになってしまった。しかもけなしているという事実すら飲み込めていない。
葵は自分と霧吹組の違いを考えに考えた結果、刺青というキーワードがヒットした。で、その刺青はぜんぜん怖くない、大丈夫、むしろ受け入れてます普通に。ってことを言ったら少しは霧吹も気持ちを変えてくれるんじゃなかろうかと、霧吹にしてみりゃ一ミリも考えていないことを真剣に考えていた。
これが、葵が思いに思った霧吹への告白だ。なんともお粗末極まりない。
白目を剥き、頭からは角、まんま般若そっくりの表情になった霧吹は、モニターにガラスの灰皿をスペシャルクリーンヒットさせた。
「このクソ女がー!」
怒り狂う霧吹を次郎がなだめるが、その顔は笑いをこらえていた。
四郎はぶっ壊されたモニターの確認に走り、三郎はガーゼのハンカチで頭の汗をこまめに拭った。ついでに笑いをこらえていたために目に浮かんだ涙をそっと拭う。
何の声も聞こえなくなった葵は、ひたすらにカメラを凝視し、スピーカーに耳を傾けていた。
「上等だクソアマ! てめー、そこまでこの俺をバカにしたならきっちりがっちりしっかりそっくりその責任を心と体で払ってもらうからな! いいか! 覚えとけ」
ぶっちぎれる霧吹は、怒りを露わにして、部屋のドアを蹴破った。
もちろん行き先は、葵のところだ。
残された次郎と三郎と四郎は今後どうなるかってことを何やら楽しげに話に小花を咲かせていた。

