「分かりました? 霧吹さん!」
「聞こえてるようるせーな、今前向きに検討してんだよ」
「分かりました。じゃ、告白します」
葵以外のみんなは、もう既に告白したではないか! と心で突っ込んだ。
出ない咳を一つ。がががっと喉を一回鳴らす。
「いない間に一生懸命考えたんです! 何回も何回も練習しました。これが一番しっくりきたんです」
「わかったよ、早く言えよ」
「それでは……霧吹さんのその両腕にいる、なんか変な金魚が、時間と共に萎れても」
「金魚だあ? 鯉だよ」
「あっとえっと、鯉? なんですね。はは。あー、鯉ね。こほん、その、胸に描かれてるひょっとこのお面みたいのが歳と共に疲れ切ってへんな安物のお面みたいになっちゃっても」
「これはよぉ、ひょっとこなんてやっすいもんじゃねえんだわ。般若だよ」
「えぇぇ……あー、ええと般若、ですよね。そうそう、般若。で、えっと、花びらでしたっけ? 大丈夫はなびらで? そのちらちら散ってる細かいの? それがブタさんの足跡みたいに変わっても」
「さくるぁぁぁぁぁ……ふぶくぃぃぃぃぃ(桜吹雪)」
霧吹は頭に血が一気に上ってくるのを感じた。
葵はここでまた一息つく。
霧吹の後ろに控えている次郎と三郎と四郎が直立したまま一生懸命に、笑いをこらえていた。
霧吹はモニターを見ながら怒りに顔が真っ赤になっていて、いつ爆発してもおかしくない勢いだ。
葵は更に続けた。
「背中にいる」
次郎に三郎に四郎がゴクリと喉を鳴らした。
霧吹は首を左右にカキカキ鳴らし、葵をスーパーフルボッコにする準備を整えた。
「背中にいる、ライオンが……」
「とるぁぁぁぁぁぁぁ(虎)鬣(たてがみ)なんかねえだるぉぉぉ」
拭くくドス黒い声は部屋中に、いや、家中に響き、鼻の穴を最大限に開きまくり、血管を浮き上がらせる。
「葵さん、若の自慢の虎になんてことを!」
思わず次郎が口をはさみ、その口元を手で覆った。

