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葵は晩ご飯の買い出しに近くのスーパーへと行った帰りだった。
寒いから今夜はシチューだ。
たっくさんあったまって、体の中から、あわよくば心までも温かくなろう!
と、るんるんで帰宅の途についている途中でその事件は起きた。
今までの教訓として、交差点では一端止まり、左右を正確に確認し、青信号でも二回の目視は忘れなかった。はねられるのはもうごめんだ。そんな経験一回で十分。二回したけれど。なので、あの一件以来、念には念を入れ、目と耳で確認するようになっていた。
「よしオッケー、渡れる。はい、渡りまーす」
ちゃんと確認してから見通しの悪い交差点を渡り始めたその直後。ぱぁっと明るくなる目の前にはうっすら思い出があった。車のハイビームに目がくらむ。眩しくて手を額にやり、光を避けた。
これ、前にも経験した。と、本能が叫ぶ。
まさか!!!!
勘弁して! こんなにたくさん確認したのに。なんで。ちゃんと左右見ていないの確認したのにーぃぃぃぃぃ……
眩しさに目を閉じそうになる。体は凍りついたように動かない。頭では逃げないとって思っていても体は全くいうことをきかなかった。

