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久しぶりに霧吹は自宅のリビングでゆったりしながら葉巻を燻らせていた。
傍らには千葉から帰ってきた組長、その隣には野兎組長、の隣には犬山とあなたの。みんなそれぞれがそれぞれに話しているから、なんの話をしているんだか、検討もつかない。傍らに座る秘書のような舎弟は話をまとめるのに大変だ。
ブランデーが麦茶のようにガブ飲みされ、焼酎が水のように一気に飲まれ、赤ワインがトマトジュースのようにとろとろと胃に流れ込む。大酒飲みな男たちが勢揃いすると、それはそれで、もっさい。
「将権に修、お前達はよーくやってくれた」
二人の組長は終始笑顔だ。
「こんなざまでよくもなんもねーだろうがよ」
霧吹が噛みついた。
「まだまだ俺じゃ話になんねーんだなって思い知らされたよ」
修も悔しがりながらも話に入る。
フルボッコにされたのは霧吹と修の方だった。外国のマフィアを甘くみると甘くない仕返しが来るということを身をもって思い知らされた。殺されそうになりながらも殺されなくてすんだ。というギリギリのところだったが、そのパイプはまだ繋がっていたことに、組長たちはよくやったと褒め称えた。
「まあ、これでもう俺たちは心配するこたぁないなぁ、兎さんの」
「ああ、そうだなぁ、霧吹の」
年配な組長たちは、話半分で飲みに忙しく、息子たちがどういう目に合って、死にそうになり、痛い目をみさせられていたという事実には目を閉じて、耳を塞ぎ、あーーーーーっと言った。自分の息子がほにゃらられるのを考えるのを拒否した結果の行為だ。現実逃避ともいう。

