「合コンでも行くか!」
葵の背中を叩く。
「んー、今日はいいや」
「分かった。じゃ、今度は絶対だよ。いい? てかさ、近いうち出かけよう。ね。」
「ん。そうする。ありがとう」
元気の出ない葵はやんわりと断った。今日大学に行ったのは残っていた提出書類を提出しに行っただけなので、さっさとやることを終えた葵は、これまたさっさと帰宅しようとした。
実はこの半年、何度となく霧吹に電話をしたりメールをしたりしたけれど、一回も返信は無かった。そもそも組の人たちの誰とも連絡がつかないことには、話にならない。
美紀子にもあれ以来会うことはない。住む世界が違うんだから会うことなんかないんだけど、道端で出くわすってことがあってもおかしくないのに、そんなことすら無い。
「やっぱり、お金で私を守ってただけなんだぁ」
そりゃそうか。そうだよねぇ。それしか考えられないもんねぇ。いままで何十回って考えても答えはひとつしか降りてこない。赤パンツのママも美紀子さんも叔父さんだってそっち寄りの人、なのに私はこっちよりの人間なんだから、接点なんか無いんだ。
おじさんに聞いてもみたけれど、将権には将権の仕事がある。修にも修の仕事がある。美紀子にも美紀子のやるべきことがあある。葵、お前にもやらなければならないことがあるだるお。それを先にやりなさい。と、ぴしゃりと言い切られた。
「やっぱり、もうダメなのかなあ」
なんか、私一人だけ本気になってバカみたいと思う葵は、自分だけがやはり蚊帳の外にいて、相手にされていないと思うと悲しさを通り越して怒りすら覚えてくる。
自分は組の人間じゃない。いわば一般ピーポーだ。そっちよりの方々がまともに相手にするはずもないんだ。
やっとそこに気付いた葵はなんとおつむの回転ののろいことか知れない。しかし、それが葵のいいところでもある。結果を悪く考えない。相手を悪く思わない。物事の裏が読めない。
「忘れよう」
いいや、ゆかりの言ったように次に行こう! いない人のこと考えてても仕方ないよね! 心を入れ替えるか!
深海のようにふかーい深呼吸を一つ。
宇宙まで突き抜けるかのように青い空を見上げて、新しい空気を肺いっぱいに入れた。

