「将ちゃんがここ一番の大事な取引の日にぶつけて、修ちゃんは入籍したんだよ」
「そんなことがあったんですか。知らなかった」
「今までそんなことで動揺するような男じゃなかったんだけどね、子供の義理の父親になるのが修ってのが一番ネックだったらしい。人一倍気を張って、細かい所に目をつけて、Aプラン、Bプラン、Cプランまで綿密に計画を練ってどんな些細なことでも何ひとつ見逃さないのが将ちゃんのいいところなんだけど、それで今までも何回も警察から逃げてこられたからねぇ。あまり良い話じゃないけどね。それもあのときばかりは鼻が利かなかったんだね」
もの悲しげに目を細めながら、「で、あっさりとパクられたってわけさ。霧吹はそのままぶち込まれた」と言い捨てた。
ま、あいつの為を思ったら2年間あの二人に会うこともなく考える時間が持てたってことは、いい方向に向かったってことで、あいつも出て来た時には考え方も変わってたってわけだよ。
そんなことがあったんだっ、て、ん?
おかしくないか?
「えっと、その、刑務所に入ってたのはこの前ですよね?」
って、でも離婚したのはもうずっと前の話で。
「離婚したのはずっと前だよ。修との結婚の話が出始めたのは今から3,4年前くらいかなぁ、だからそれからまたうだうだとバカみたいな子供の喧嘩が始まった。美紀子もほれ、気が強いからね、引かない性格だろ? むしろあいつはハッパをかけるほうだから」
確かに美紀子さんに一回会った時に感じたことは、あまり性格はヨロシクなさそうってことだった。

