運転手は車のトランクから思い出したように何かを出した。
「いいか、アホマッチョ君、一年の間このマグロ漁船で漢を磨け!」
修は上から見下ろし、コオロギは言葉もなくその場で固まった。
「ぼっちゃん、それではこれを」
運転手は修にあるものを手渡した。
「おお、忘れてた。よし、未来の漢よ、餞別にこれを渡す」
コオロギに手渡したのはシングルCDだ。
『そうだろ節』
「なんだよこれ」更に泣きそうになるコオロギ。
「これは、サブちゃんの歌だ」
「……」
「歌詞を良く読め。いい詩を書いてる。心にしみるぞ。これはお前に捧げる歌だ。寂しくなったらこれを聞け」
よし行け! と手で合図する修に、
キャプテン・マクロはニコヤカに微笑み船に荷物を乗せ始めた。

