屋上にいたらドアが開く音がした。
「もーえちゃんっ!」
「葉菜ちゃん!?」
そこにいたのは葉菜ちゃんだった。
「萌絵ちゃん、教室帰ろ?」
「……」
「明日は夏祭りだねー」
「……!」
急に何を言い出すかと思えば、
“夏祭り”。
今年は行かないよ…。
日向は葉菜ちゃんと行くに決まってるし。
「ねぇ萌絵ちゃん聞いて?」
「…?」
「日向ってばすごい勝手なんだよ?」
「え?」
「“夏祭りは昔から萌絵と行くんだ!今年もそうする!嫌だって言うなら葉菜は置いてく!”とか言うんだよ?」
「…ひっくん」
「…勝手だと思わない?」
「うん、勝手」
涙がでそう。
でも泣いちゃダメ。
まだ夏祭りに行ってないんだから。
「萌絵ちゃんは日向が好きなんでしょ?」
「…葉菜ちゃん…」
「気持ち伝えた方がいいんじゃない?」
「……」
あたしは横に首を振った。
ううん、今年の夏祭りは、
“最後の夏祭り”にしようと思ってるから……、
大丈夫。
気持ちなんか伝えない。
葉菜ちゃんにも迷惑が掛かるでしょ?
「…萌絵ちゃん…」
「葉菜ちゃん帰ろ?」
「うんっ!萌絵ちゃん明日浴衣着てくれば?」
「えー!?」
「あたしと買い物行ったとき買ったじゃんっ!めっちゃ似合ってたもん!」
「葉菜ちゃんだって似合ってたよ?」
「あたしは浴衣着る」
「…あたしは考えてみるね…」
「うんっ」
浴衣……か。
どーしよっか。

