夏の花火は儚く綺麗で


「……」


やっぱり、お似合い。

美男美女って言うのかな?


「日向っ、りんご飴!」

「葉菜、食べ過ぎ」

「だって食べたい〜!」

「仕方ないな」


…葉菜ちゃんに弱い。

日向ってばのろけてる。


「萌絵は?」


不意に呼ばれた名前。


ねぇ、どうして日向は優しいの?

その優しさはあたしに使わないでよ……。


「…花火始まるよ」

「?」


“萌絵は?”

という質問には答えない。

もう“バイバイ”だもん。



「わぁっ……綺麗」

「だな」



最後の花火。

最後の夏祭り。

日向とはもう来ない。


「日向」

「ん?」


ごめんね、葉菜ちゃん。

葉菜ちゃんの顔が曇った。

花火の光に照らし出されてわかる。



「日向、もう約束守らなくていいよ?」

「…は?」


泣きそう。

でも、まだ泣けない。

ここで泣いたらあたしの負け。


「葉菜ちゃんだって2人で来たかったと思うし」

「先に約束したのは萌絵だろ?」

「その約束を破棄しよう?もうずっと守ってくれてたよね」

「萌絵…」


切なそうに呼ばないで。

胸が痛くて仕方ないのに。


「あたしも好きな人と来るようにしなきゃ」

「……」

「日向と行く祭りは最後。今日で終わりにしよう」

「萌絵……わかった」


ありがとう、日向。

バイバイ、日向。

大好きだったよ。



「……!」

あたしは走り出した。

ねぇ、日向。

苦しいよ。

涙が出る。

日向……大好き。

日向しか見てこなかったんだよ?


後ろを振り向くと、

仲良く微笑み合ってる2人。


「…好きだよ、日向」


花火の音があたしの、

“好き”を書き消した。


届かないって事だよね。