『いいなさい』 「……言えません。土方副長からのご命令です」 目をそらす菊池。その発言は、裏お返せば何があったという事だ。 『……池田屋が本命よ』 ビクリと菊池の肩が揺れた。 「何故その事を」 それで全てが繋がった。やはりこれは池田屋事件だ。 「組長。お戻りください、病み上がりの貴方には、本当に危険です。貴方に何かあれば、俺は!!」 『行かなきゃ行けないのよ!!!!』 怒鳴るような、叫ぶような声が静かな屯所に響いた。菊池は、吃驚したように目を丸めた。