「総司」 南が寝てから少しして、障子の向こうから斎藤の声が聞こえた。 「一君??どうかしたの??」 「水を持ってきた」 障子を開けた斎藤の手には、小さなタルが持たれていた。 南の額に乗せた布を取り、斎藤はタルに張った水で布を冷やし、絞ってまた額に戻した。 「立花は、分かりづらいな」 「どうしたのさ、急に」 斎藤は、姿勢よく正座しジッと南を見下ろした。