「可愛いけどね、相坂さん」

「…」


こちらに、戻ってくるヒメの姿。


まだ残っている茶髪ピアス男に、少し怯えているような顔だった。



「…相坂さん、」

「…っ!」

「…ここ、お大事にね」


下を向いて目をそらしているヒメ。

そんなヒメに、その男は、痕が残っている腕を指差して言った。


「じゃーね。またどっかで」

「…………」


そして、何事もなかったような顔で、去っていく。

俺は、黙り込んでいるヒメを見ていながら、何も言えなかった。