【完】王子様の甘い溺愛




…………え?



とめどなく溢れていた涙が、一瞬にして引く。


小さく、だけど確かに聞こえたケータイの音。


それは紛れもなく、教室の隅からで……


反射的に振り返ると、そこには一人の男の人がいた。



「あーれ、マナーモードにすんの忘れてた」



平然とそんなことを言いながら、ケータイをカチカチと弄る彼。


……え?


な、に……