「桃已」 俺に絆創膏を渡し、鞄を持って帰ろうとする桃已を呼び止める。 「ありがとうな」 久しぶりに作り笑いではない笑顔を自然と浮かべれば、真っ赤な顔で、一瞬嬉しそうに桃已が笑った。 それは本当に一瞬で、次の瞬間、更に顔をまっかにさせ、急いで廊下を入り去っていく桃已。