【完】王子様の甘い溺愛


じー……っと、彼を見つめる。



「消して……ください、お願い……」



喉から振り絞った声はどこか震えていて、止まっていたはずなのに涙で視界がボヤける。



「ふっ……そりゃ嫌だよな。あの桃已咲姫(ももい さき)が泣いてるなんて、みんな驚くぞ?」



……さっき同様にやっと口の端をあげる彼の台詞で、妙にひっかかる"あの"という言葉。