「ねぇ、稜」
「んー？」
「丘の場所わかるの？」
「は？お前と行くに決まってんだろ」
「あたし用意に時間掛かるよ？」
「５分で済ませろ」
「無理！化粧だって髪だってあるし…」
「化粧なんかすんな。お前は化粧しなくても良いっつってんだろ」
「でもぉ…」
「でもじゃねぇ！お前は俺の所有物！俺の言うことを聞け！」
「なによ」
あたしたちは、
“友達以上恋人未満”
って、噂されてる。
“恋人”
とは言われない。
やっぱりそこはなにか、
違うのかもしれない。
「…やっぱり無理なんだよなぁー」
「１人でなに言ってんだ、バカか」
「うるさいなぁー」
ねぇ、稜。
あたしね、今が結構楽しいの。
でも、
“所有物”
とか、
“俺のモン。”
とか言わないでよ。
変に期待して苦しくなるんだよ？
友達と恋人の境界線はわからない。
だけど、
“友達以上恋人未満”
って関係も悪くない。
