俺だけがわかってない。


俺だけが“さぁちゃん”の正体を知らない。




「またねっ、稜ちゃん」



“稜ちゃん”


と呼ばれるのがなんだか、

くすぐったくて、

でも温かくなる。


「稜ちゃん?ww」

「愛翔には呼ばれたくない」



小さいながらも、

さぁちゃんは“特別”と、

分かっていたんだ。



“稜ちゃん”と呼ぶのは、

さぁちゃんだけ。


と、決めていたんだ。