「…やるじゃん」
「莢」
「なに?」
そこにいたのは莢だった。
「相変わらずまだ兄貴を自由にさせてないんだ」
「…うるさい」
「莢だってわかってんだろ?兄貴の気持ちが自分に無いこと」
「わかってる。…だから解放しようと頑張ってるんじゃん」
「そうなんだ」
莢は莢なりに頑張ってるって事か。
兄貴、良かったな。
「…ねぇ」
「なんだよ」
「翔貴と桃は…幸せになれるよね」
莢は優しい。
俺はそんな莢が妹みたいに見えるのは、
莢が可愛いからだと思う。
「莢が心配しなくてもアイツらなら大丈夫」
「そっか……」
嬉しそうに微笑む莢は、
やっぱり大人。
俺だけが妹に見えるんだ。

