「彩希…」

「先輩!」



先輩からの告白を曖昧にしたままのあたし。



「彩希ちゃん」

「はい?」

「彩希ちゃんは…いつになったら俺を見てくれんのかな?」

「え……?」



大きくて茶色い瞳。

吸い込まれてしまいそう。


「…いつ?」



いつもと違う先輩だから、

怖い。



「せんぱ……」

「おかしくなりそうだ」



ごめんなさい。


きっと、

先輩とずっと一緒にいたら好きになれると思うの。


だけど、

やっぱり稜がいるから。



「…んっ」


優しくキスした先輩。


「好きだよ、彩希ちゃん」


そう言って笑った先輩は、

いつもの先輩だった。