〜昔話〜


俺と莢が小6の時。


「翔貴ぃー」

「…うっせーな…」


莢は俺のあとをよく着いてきていた。

「うぜーな」

「なによー?」


きっと莢は俺が好きなんだ。


「なんで着いてくんだよ」


どうせなら桃がいい。


俺はこの時から桃が好きだった。


「翔貴?」

「桃っ!」

「わぁ!もうっ//!」


照れる顔が可愛くて、

その顔が見たくて、

俺はいつも桃を抱き締めてた。

「あたしにもしてよ」

「はぁ?誰がお前なんかにするかよ」

「名前で呼んでよ」

「なんでだよww」

「どうして桃!?あたしの方が好きなのに!桃なんか子供じゃない!」

「……」

「桃がタイプなの?じゃああたしが桃みたいな子になればいいんだ?」


俺は“桃”が好きなんだ。

タイプとかじゃない。


「案外翔貴ってガキね」



そう言われたのが腹立って、

気づいたら俺は莢を突き飛ばしていた。