「彩希になんか言ったでしょ?」

「なんでだよ?」

「彩希に愛でも囁いてそそのかしたの!?」

「なんでそーなる」

「彩希はハッキリ言うと化粧しないほうがいいとあたしも思う」


……だろ?

アイツ可愛いーし。


「でも、化粧は大事じゃん?」

「はっ?」

「女の子に勇気をくれる魔法の道具だもん」


…急にメルヘンなの来ましたけど?


魔法……?

え、この世に魔法はございませんけど。



「バカにしてんでしょ?」

「べっつにー」

「彩希は素がいいの!化粧する必要はないけど、やっぱ可愛いのをもっと可愛くしたいし?」


すんじゃねーよ。

変な狼が寄ってくんだろ。


「狼が来たらぶちのめすだけの話よ」


はい、きたー!!

桃っつー可愛らしい名前貰ってんのに、

名前に似合わず男っぽいとこ。



「お前マジ男だろ」

「うるさいなぁー。ぶちのめすのは誰か知らないけど。」


……俺がやれ的な?


「めんどい。」

「…あっそー?まぁいんじゃない?」



桃のわりにハッキリしてんじゃん。


「愛翔か湊が守るし。学校には彩希の親衛隊だっているし」

「マジ!?」


親衛隊!!?


「先生も……?」

「会員よ?」


マジか!

アイツ神じゃねぇ!?


「わかった?」

「え?」

「アンタの手放した代償がどんなに偉大か」

「…知らねぇし」

「へぇー?ま、稜は稜なりに頑張りなよ」

「え?」

「あっち終わったみたいだから」



いつの間にか終わってた話し合い。


「稜ー」

「お前顔赤い」

「彩希超可愛い」

「へぇ、それはよかったっスね」

「だろぉ!?」

「お前なんかうざいぞ?」

「失礼だな!なぁ彩希って今日化粧してないよな」

「え、あ、おう」

「変だぞ、稜」

「うっせーよ」



…やっぱ可愛い。


俺の言葉真に受けてるし。


純粋っつーかバカっつーか……。


ま、可愛い女。