もしも願いが叶うなら


「ご家族の方ですか?」

「あ、幼なじみです」

「お母さんとかは…?」

「もうすぐ来ると思います」

「…彩希さん、一命はとり止めましたよ」

「よか……た……」

「出血が酷く脈も浅くなってきていたので危険な状態でした。」

「……!」

「もう少し遅かったらもう無理だったと思います」

「……」



もしあの時、彩希を探しに行ってなかったら……


彩希は死んでいた……。



「後は本人の問題です」

「ほ…んにん?」

「本人に戻る気がなければ……」



死ぬ……って事?

なぁなんだよ、それ。

彩希は確かに死ぬのを望んで、自殺を図った。

でも…俺は彩希を死なせたくなかった。


……いや、湊さんが望んでないと思ったんだ。


俺だって彩希に死なれたらもう人を愛せない。

世界で唯一愛せる人がきっと、彩希。


湊さんがきっと俺を呼んだんだ。


“彩希を助けてくれ”

って。

昼寝をしていた俺が不意に起きて彩希を探すなんて…ありえねぇし。



やっぱり死んでも湊さんは……すごいよな。