――ガチャ…
「彩希…?」
やっぱ風呂入ってんのか……。
ちょっと脅かしてみっか♪
「さーきぃー…どこだぁ〜」
……?
反応なしッスか?
彩希は怖がりなはずだから叫ぶんだけど…。
そーいや、着替えとかねぇじゃん。
なのに風呂入ってんのか?
……なんか変じゃね?
彩希……入ってたらわりぃ!!
心ん中で何回も謝って俺は風呂の扉を開けた……。
「!!?」
手首から血を流して気を失ってる彩希を見た。
「…え……?」
数秒体が動かなかった。
「彩希っっ!!」
やっと動いて俺は震える指でなんとか救急車を呼んだ。
彩希の近くにはカミソリが落ちてた…。
きっと自殺……。
闇に引きずり込まれてるのはわかっていたはずなのに…。
闇の中をさ迷っているのもわかっていたはずなのに…。
俺はなにもしてやれなかった――………。
このまま彩希が死んだなら、俺は彩希を見殺しにしたのと一緒だ。
……死ぬな、彩希。