もしも願いが叶うなら


「彩希っ…彩希ぃ!!」

「死ぬなんて俺が許してないだろ!」


真っ白い部屋に、

真っ白い清潔そうなベッドで寝ているあたし。



そんなあたしの周りを囲むように、

稜、桃、翔貴にぃ、莢姉、愛翔…お母さんが居る。


「…な…いてる…?」

「彩希に死んで欲しくないから泣いてるんだよ、みんな」


今の……あたし?



「ねぇ、彩希」

「…え?」

「彩希はわかるんじゃないのか?…残された人の気持ち」

「!!」



辛くて…苦しくて。

生きているのかさえわからなくなる。


ただボーッとしているだけで、1日が過ぎていく。


泣いて悔やんで…の繰り返し。



「そんな思いをあいつらにもさせるの?」

「…っ」


フルフルと首を横に振った彩希。


「…そうだよな、させたくないよな」

「じゃあ…どうしなきゃいけない?彩希は」

「戻っ……らないと…いけない…」

「…ん。」



ギュッと力を入れて抱き締めてくれる先輩。



「本当は死にたくなかった。彩希と一緒に生きたかった。」

「…っっ」

「離したくなかった…誰にも渡したくなかった」


先輩の声が苦しそうで、


あたしの肩に先輩の涙が落ちてきた。



「彩希は俺の…って…」

「…先輩…」

「俺が彩希を幸せにするって……決めたのに…」

「―……」


痛いくらいに先輩の思いが伝わってきて、

頬に涙が伝う。




「…彩希に触れられないなんて…彩希を置いてくなんて…」

「……」

「彩希を幸せに出来ないなんて………



















考えてもみなかったよ」