「あれ?彩希は?」 「…どこか行っちゃった」 「…行ってくるわ」 「…うん……」 先輩が亡くなったあの日から…、 彩希の顔から笑顔が消えた。 彩希は脱け殻のようになってしまった。 「湊さん…」 何度呟いただろう。 湊さんの存在は大きくて、 彩希の心に穴が空いたまま……埋まらない。 あの日、 湊さんからメールが来た。 『彩希を宜しく頼ま』 きっと“頼む” って言いたかったんだと思う。 …でも湊さんは越えられない。 でもちゃんと彩希の側にいる。 ちゃんと………。