もしも願いが叶うなら


「記憶なくなってあたしを求めてきたくせに」

「…記憶がなかったからな」

「記憶のせいにしないでよ!求めてきたのは…あたしが欲しかったからでしょ」

「…は?」

「あたし…稜なら全部あげれるよ」

「意味わかんねぇんだけど」

「愛のないsexでもいい」

「愛のないsex?」


昔の俺ならシてた。

でも今はダメだ……。



もう彩希以外、

抱きたくない。



「…無理だわ」

「えっ?」

「もう菫を抱けない」

「…っ!」


散々菫を傷つけてきた。


俺は本当に最低だ。




「なんで…っ、抱いてよ!抱いて……!」

「菫…」

「稜を好きになっちゃったこの気持ちはどうしたらいいのよぉ…!!」

「…っ!!」


す…き……?


「好きって…言ってよっ!!あたしを抱いて、好きって言ってよっ!」

「……っ」

「痛くてもいい、このままでもいいからぁ!!」

「……」



やっぱり俺はもとに戻れないのだろうか……。

どうしたら、

彩希の元へ戻れるんだ?



……彩希、好きだよ。



「菫」

「…稜のバカぁぁ!」



でも菫を抱けない。

俺はやっぱり彩希を裏切るような真似はもうしたくない。


……付き合ってもねぇくせに可笑しいよな。