もしも願いが叶うなら


「…稜がいなきゃダメだな」

「えっ……」

「あいつがいなきゃ彩希ちゃんは春を好きにならないなぁー」

「先輩っ?」

「俺、来週卒業すんじゃん?」

「……」

「…翔貴も卒業して莢も卒業」



みんな卒業しちゃう。

居なくなっちゃう……。



「でもさ、愛翔とか桃とか稜がいんじゃん」

「……!」

「彩希ちゃんにはたくさんいるじゃん。」


そうだよ……。

先輩が卒業するからって1人になる訳じゃない。


……でもなんか違う。


「俺らって存在も大きいと思うんだ」


稜たちとかじゃない、

何か安心出来る所がある。


「彩希ちゃん」

「はい?」

「彩希ちゃんが好きだから、俺は彩希ちゃんを1人になんかさせないよ」

「……?」

「彩希ちゃんが俺達がいなくたって安心出来るようにしとくから」

「何を……?」

「…俺はちゃんと彩希ちゃんに会える所にいるから。だからいつでもおいで?」

「先輩…」

「でも、」



でも?

行っちゃいけないの…?


「春が好きにならないとダメだな」

「春を……」

「そ。春を好きになってからおいで」

「……」



出来そうにない。

春を好きに?

翔貴にぃや先輩…莢姉がいなくなるのに?

絶対好きになれっこない。