「翔貴にぃ!先輩!別にそんなことで喧嘩しないで!!」 「「そんなことぉ!?」」 ビクッと彩希の体が強張った。 はぁ……。 高3のくせに。 「彩希を怖がらせんなよ」 「「稜!」」 「彩希が怖がってんぞ」 「いつもおいしいとこだけ持ってきやがって」 「はぁ!?」 「いいよなー、羨ましいわ」 ……羨ましいのはこっちの方だ。 堂々と彩希に“好きだ”と言える。 俺なんか…………、 もう言えない。