「お前は出ていかねぇのか?」

「…うん。稜が起きたんだもん」






稜はあたしを忘れてる。


稜の記憶にあたしはいない。






「…幼児体型が」

「…処女」

「は?」

「稜の言った通り処女だよ、あたし」

「…で?」





別にどーでもよさそうな顔する、稜。


あたし…は…、

あたしの…気持ちは…。






「処女は好きな人にあげたかったの」

「…ふぅーん」

「…稜…」

「…んだよ」







あたしを好きじゃなくてもいいよ。


あたしを忘れててもいい。






「…あたしを抱いて。」

「…は?」

「稜に処女をあげたいの」

「要らねぇーし」





菫って人がいるから…?






「抱いて……!」

「…優しくしねぇから」






そう言った稜の瞳は、

冷たくて、

男の瞳をしていた。



逃げられない―……。