「稜…」
「あ、菫ちゃん」
「愛翔くん…」
「今呼ぶのは良くない。…後にして？」
「……ん」
菫が来たのなんか知らなかった。
彩希ばかりに目がいく。
「…稜？」
「…え？」
「あたしの顔になんかついてる？」
「あ…や……その」
「変なのー」
そう言ってクスッと笑う彩希。
……可愛い。
ヤバい……俺まじ重症。
「あ、翔貴にぃ」
「え…」
一瞬だけど、
“嫌だ”と思ってしまった。
このまま彩希を、
兄貴にとられてしまうんじゃないかって不安になった。
「さーき！！」
「し…翔貴にぃ！」
「ﾌﾞﾊｯ……なに他人みてぇなww」
「だ、だって…」
「おい、俺と彩希ちゃんの愛の時間を邪魔すんな」
「はぁ！？てめぇと彩希の愛の時間だと！？」
「おう！当たり前だろ！」
「許可してねぇし」
「お前の許可なんかいりませーん」
「いりまーす」
「いりませーん」
「いる！」
「いらない！！」
「いるっつってんだろ！」
「いらねぇっつってんだよ！！」
……ガキかよ。
どっちみち正解は、
『いらない』だよな。
