「やっべ!!」






急いで戻ってきた稜。


なんか見たくなくて…。


あたしは窓の方を向いた。







「…?彩希」

「…ん」

「どした?」

「なにも」

「こっち見てくんないの?」

「…あ」



……先輩だ。


「おーいっっ!!」





窓が開いてるから声が聞こえる。

手を振り返すあたし。






「彩希ちゃーんっ!可愛い〜!好きだよー!」

「…もう//」





先輩はいつだってそう…。

あたしが弱ってるときに現れて、

“好きだよ”なんて甘い言葉を言う。

……ズルい。







「……湊さん?」

「あ、うん」


少し不機嫌そうな稜。

先輩のお陰であのモヤモヤがどこかへ行った。





「彩希」

「彩希ちゃん」

「今井!」

「今井さんっ!!」




先生が近づいて来ていることなんて気づかなくて。


ただグランドにいる先輩を眺めてばかり。



「今井ーー!!」

「わぁぁぁ!!」


耳元で大きな声を出されたのでびっくりする。


「彼氏とイチャイチャすんのはいいが、今は授業中だ!」

「かかか彼氏っ///!?」


先輩があたしの!?

なんでそうなるの!?