「この公式覚えとけよ!次テストすっからな」
「えー!!」
授業も頭に入らない。
あれから気まずいままの、
翔貴にぃとあたしたち。
「…彩希っ」
「あ、ごめん」
「ううん、どした?」
「…恋ってさ」
「うん」
「したくないって思うのにしちゃうんだよね」
「…だな」
“諦めたい”って、
思っても諦められなくて。
“忘れたい”って、
思えば思うほど、
好きになる。
誰かが幸せになれば、
誰かは不幸になる。
みんな幸せになれる“恋”なんてこの世に存在しない。
「稜?」
「あ、菫」
「彩希ちゃん、稜借りるね?」
「うん」
そう…。
菫さんと稜が付き合って、
幸せになっても、
あたしは苦しくて辛い。
幸せなんかちっとも見えない。
「ねぇ最近菫ちゃん来るけど稜くんと付き合ってるのかな〜?」
「あ、でも!2人でデートしてるとこ見たって友達が言ってた!」
「うそぉ〜!じゃあやっぱ彩希ちゃんとは別れちゃったのかな…」
「あたしあのカップル好きだったのに…」
最近菫さんと稜が付き合ってるって言う噂をよく聞く。
きっと付き合ってるとあたしも思ってる。
「彩希ちゃんは可愛い系で、菫ちゃんは綺麗系」
「あ、わかるそれ!!」
可愛い?…あたしが?
ありえない!!
菫さんは綺麗…っていうかもう美人っ!!
大人っぽいっていうか…。