そんな彩希の笑顔が好きなんだ。


「…彩希、おいで?」



なんとなく………、




彩希は兄貴から離れたいんだと思った。



「りょおぉっ……!」


俺の胸に彩希が飛び込んできた。

俺は彩希をギュッと強く抱き締める。



……彩希だ。

俺はやっぱり彩希を諦められないな。

そう実感した。




「彩希。」

「翔貴…にぃ…」

「兄貴…彩希泣かしてんじゃねぇーぞ」

「…彼氏みてぇな事言ってんなよ」

「兄貴には……!」

「俺にはもう誰もいない」

「え…?」

「桃とは別れたんだ。」








嘘だと思いたかった。

兄貴が彩希に本気になれば、

いつだって彩希の心を奪えそうだと……ずっと思っていたから。