稜side
「胸が……痛い……」
そう言って泣く彩希。
彩希………。
最近彩希は泣いてばかりだ。
彩希はどうしたら泣き止む?
今日だって―………彩希を楽しませようと計画してた。
なのに、彩希は兄貴に抱き締められてて…。
気が狂いそうになった。
触れられない彩希に、
兄貴は容易く触れられて。
兄弟なのにこうも違うのか?
兄貴は俺より人気者。
それは昔から……。
そんな兄貴と対照的だった俺。
そんな俺に手を差し伸べてくれたのは、彩希。
“稜ちゃん遊ぼ?”
無邪気な可愛い笑顔で、
いつも俺に笑いかけてくれた。