「…なにしてんの？」
突き放すような低くて冷たい声。
「りょ……う……」
「離せよ兄貴」
「なんで？」
「…それは…」
「幼なじみってだけだろ？俺が何しようと自由だ」
「…！」
やめて……。
“幼なじみ”なんて言わないで。
痛いほどわかってるから。
「…っ」
「「彩希！！？」」
痛い……。
もう……ボロボロ。
“泣いちゃだめ”って命令してるのに、
あたしの涙腺はもう崩壊してて。
「うぅ……」
「痛いとこでもあるのか？」
うん、あるんだよ？
……翔貴にぃ。
胸がどうしようもなく痛いの。
「痛い……よ……」
「どこ？！」
「胸が……痛い……」
「…彩希」
痛くて痛くて堪らない。
