「…彩希…」
俺の部屋から見える彩希の部屋。
ベランダだからよく行き来して遊んだ。
でも今日は…………、
彩希の部屋のカーテンが、
俺を拒むかのように立ち塞がる。
「…稜」
「…兄貴」
「……」
「わがままだけどさ、」
「ん?」
「彩希を離したくなかったんだ。」
「……」
「彩希を知るのは俺だけでいい」
「…あぁ」
「彩希には俺しか見えなくていい」
「…稜」
「彩希には…俺しか必要なくていい」
「…もう…」
「彩希を必要とするのも…俺だけでいい」
「もうやめろ…」
痛い。
痛いんだ……言わなきゃ治りそうもねぇーんだ。
「彩希と特別な関係でいたい。」
「稜」
「彩希のとなりには……誰がいんだ……?」
「稜…!」
なぁなんで。
なんで泣かなくちゃいけねぇ?
彩希といるとペースが乱れんだよ。
……彩希は誰と幸せになるんだ……?