曖昧でごめんな。
「ね、彩希」
「……うん」
悲しい顔なんかしてほしくない。
笑ってほしい。
いつまでも彩希を忘れられないままじゃ………、
困るよ――…………。
「ねぇ稜」
「ん?」
彩希の行きたいとこ連れてくよ?
彩希の食べたいもの食べさせるよ?
彩希のほしいもの買ってあげるよ?
彩希の願いは………?
「今日はもう……帰ろ?」
……あぁそっか。
今日“だけ”でも彩希はダメなのか。
でも……、
別れを告げたあの時から彩希の瞳に涙が溜まってる。
「彩希が言うなら」
叶えてあげる。
俺にできることはそれしかないでしょ……?
行きは長く感じたのに、
帰りは短く感じるよ…。
まだ一緒にいたい――……………。
手だって繋ぎたい。
でも行きとは違う………、
俺らの関係。
……もうバイバイだ。
……もう離さなくちゃいけないんだ。
「じゃあな彩希」
「バイバイ稜」
彩希の声が震えてる。
彩希は逃げるように、
家へ帰った………。

