あれから1週間。


まだ縛り付けてる俺。





「彩希…帰ろ?」

「うん」


彩希はいたって普通なのに、

俺が普通でいられない。


“稜の事好きかわかんなくなっちゃった”


そんなこと言われて…、

どうやって普通でいればいいんだよ?



――縛り付けてるだけの俺。



「稜ちゃん?」

「あ、おばさん」

「記憶戻ったんですって?」

「あ、はい」

「よかったわ〜♪」


おばさん……。

彩希にそっくりのおばさん。



「彩希?愛想ないわよ?」

「愛想?……尽きてるよ」


なぁ違うんだ、彩希。

尽きてなんかない。


「彩希ってば変ね」

「さーきっ」

「翔貴にぃ!!」

「あら翔ちゃん」

「こんばんわ、おばさん」


兄貴に向ける笑顔のほうが…、



俺より“幸せ”そう――……。