なんで菫ん所なんかに―……。
「来てくれたんだぁ?」
「…菫用件は?」
「あたしと…付き合わない?」
「無理」
「体だけは?」
「無理」
「ケチね」
「今の彼女大事だし」
「彩希ちゃん?」
「あぁ」
「記憶戻ったんだ」
「…もう行くぞ?」
「稜ぉ…」
彩希以外の甘ったるい声なんか聞きたくない。
「稜っ、あたしと付き合った方が幸せよ?…いろんな意味で」
「…幸せ…ね…」
俺にとっての幸せは、
彩希といること。
他の誰かといて、
俺は、幸せになることなんてない。
「んじゃ」
菫と別れて兄貴から電話が来た。
焦って家に帰った。
なぁなんで俺はいつも………
忘れてしまうんだ。
傷つけてしまうんだ。
大事なものなのに―…………。